JASDAQ企業とは?上場審査基準は?
日本国内の新興市場であるJASDAQ(ジャスダック)。
アメリカのNASDAQ(ナスダック)に倣って店頭市場として設立されましたが、複数の市場が合併して東京証券取引所により運営されるようになりました。
市場は信頼性と革新性、地域・国際性をテーマに掲げており、東証マザーズを上回る数の企業が上場しています。
ここではJASDAQの上場審査基準や歴史、スタンダードとグロースの区分についてなどをご紹介していきましょう。これまでに承認されたジャスダック上場企業についても解説しました。
▼ 目次
JASDAQとは?他の市場との違いは?
JASDAQ(ジャスダック)とは、日本の新興企業向けに作られた市場です。
2013年(平成25年)より東京証券取引所により運営されています。
JASDAQという名称は、「Japan Securities Dealers Association Quotation System」の略。
アメリカの株式店頭市場「NASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotation)」に由来して名付けられました。
日本にある新興市場の東証マザーズと比べると、JASDAQは複数の市場が合併しながら作られたという背景から、上場する企業数が多くなっています。
JASDAQの歴史
JASDAQはもともと、1963年(昭和38年)に開設された店頭市場が前身です。
2001年(平成13年)にはジャスダックに改称されて、2004年(平成16年)にはジャスダック証券取引所という名称になりました。
2010年(平成22年)になると、大阪取引所が運営していた新興企業向けの株式市場「ヘラクレス」や「NEO」と合併することになります。
2013年(平成25年)に大阪証券取引所の現物市場(大証1部2部)が東京証券取引所に移行されて、東証運営による新JASDAQが開始。
新たな市場として生まれ変わりました。
旧JASDAQとヘラクレス、NEOという3つの新興市場がひとつにまとまった歩みからも、市場規模は同じくベンチャー企業向けの東証マザーズよりも大きなものとなります。
上場企業数も東証2部と比べて、JASDAQのほうが多いことが特徴です。
JASDAQは「スタンダード」「グロース」の2区分で構成される
JASDAQには、市場内を「スタンダード」と「グロース」の2区分に分けているという特徴があります。
区分を作っている市場はJASDAQだけで、東証1部、東証2部、東証マザーズにはありません。
まず、スタンダードに上場する場合はある程度の利益が出ていることが要件。
スタンダード市場では、一定の事業規模と実績があり、これから事業拡大が見込める企業を対象としています。
一方のグロース市場に上場する場合、利益要件はなしです。
コンセプト上、グロース市場は企業の技術力やビジネスモデルに着目して成長性を重視。
一定要件を満たして上場企業に値すると見なされれば、JASDAQグロースに上場できます。
上場企業数の割合を見ると、2つの区分のうち数が多いのはスタンダードです。グロースはスタンダードの1割以下程度。上場後は東証1部2部やマザーズへの市場変更も可能になっています。
JASDAQに上場するメリットとは
未上場企業がジャスダック上場企業になることには、資金調達がしやすくなるメリットがあります。
JASDAQ上場時にも株式の公募により資金が増加。今後の事業拡大にとって有益です。
さらにはJASDAQ上場には社会的信用力を上げる効果も期待できます。
同じくベンチャー向け市場の東証マザーズは赤字でも上場できますが、JASDAQでは赤字経営の会社は上場できません。
結果、JASDAQに上場することで一定要件を満たした優良企業としてのイメージが定着し、取引先から信用を得られやすい会社になることが可能です。
従業員の士気が上がり、新卒中途採用にも効果的
JASDAQに上場することは、自社の知名度を上げる効果もあります。
新聞やインターネットなどのメディアで会社名が紹介される機会も増え、社会的な存在感も増大。
役員や従業員にとっても、上場企業であるという自覚が生まれて、仕事の質にも好影響を与えることがメリットです。
さらには未上場企業と比べた場合に、新卒・中途採用においても優秀な人材が集まりやすく、自社の成長スピードを速める効果も見込めます。
JASDAQの上場審査基準について
JASDAQの上場審査基準については、日本取引所グループのホームページ上で「新規上場ガイドブック(JASDAQ編)」が公開されています。
ガイドブック内では上場審査基準の他に、手続きの流れやQ&Aも掲載。
JASDAQへの上場を検討している企業や投資家の方に向けた、一連のマニュアルとして活用可能です。
ガイドブックによると、JASDAQ上場の要件は9つあります。
主なものは、株式の分布状況や流通株式時価総額。流通株式時価総額については、東証1部2部では10億円の要件ですが、JASDAQは半分の5億円です。
他にも、上場会社監査事務所から監査を受けていることや、株式事務代行機関を設置することなどの要件が盛り込まれています。
スタンダードとグロースでは、「純資産の額」「利益の額または時価総額」の要件が異なる
JASDAQのスタンダード部門とグロース部門では、要件の一部が異なっています。
違う箇所は、「純資産の額」と「利益の額または時価総額」の2点。
純資産額については、スタンダードでは「連結純資産の額が2億円以上」、グロースでは「連結純資産の額が正であること」とされており、赤字では上場できません。
利益の額に関しては、スタンダードの場合は直近1年間で1億円以上あることとなっていますが、グロースの場合は要件なしです。
JASDAQ上場の流れ
JASDAQに上場する場合、エントリーしてから東証に承認されるまでに様々なスケジュールをこなしていきます。
企業はまずどの事業年度に上場するか、スタンダードとグロースのどちらに上場するかを決めることが必要です。
予定を立てたのちに、収益基盤の確立や社内管理体制の整備など、上場企業としてふさわしい会社になるための具体的な準備を実施。
準備が整い次第、主幹事証券会社が上場2週間前に東証へ「上場申請エントリーシート」を送ります。
上場申請の場が設けられて書類が受理されると、東証から企業に向けて審査のスケジュールや大まかな審査基準の説明が行なわれる流れです。
JASDAQの上場審査で行なわれること
JASDAQの上場審査では、ヒアリングや実地見学、e-ラーニング受講などの内容が実施されます。
さらには社長面談や社長説明会も実施。すべての審査工程が終わると東証で決裁され、上場の可否が決まる仕組みです。
JASDAQから市場変更した企業、市場変更していない企業
JASDAQに上場したのちは、会社の段階に応じて別の市場に移ることが可能。他の市場に移動することを「市場変更」と呼んでいます。
実際に市場変更した企業の例を挙げると、もともとJASDAQのスタンダード区分に上場していた楽天株式会社は、2013年(平成 25年)12月に東証1部へ市場変更しました。
他にも、2015年(平成27年)にはガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社がJASDAQスタンダードから東証1部に市場変更。
2016年(平成28年)6月には、株式会社ノジマがJASDAQスタンダードから東証1部へ上場しています。
グロース区分においては市場変更が行なわれていない年もありますが、2014年(平成26年)に、株式会社アイレップがJASDAQグロースから東証2部になりました。
これまでの市場変更については、日本取引所グループのホームページ内「市場変更銘柄一覧」から確認可能です。
JASDAQには上場の上限年数がない
新興市場のうち、東証マザーズは上場から10年経つと市場変更をするかどうかを決めるルールが設けられていますが、JASDAQには年数の上限がありません。
一度上場したあとは何年経ってもよいことになっているため、2001年(平成13年)に上場した日本マクドナルドホールディングス株式会社のように、JASDAQ上場から10年以上経った企業もあります。
JASDAQの銘柄を選ぶときのポイントは?
JASDAQに上場している企業は、同じ新興市場の東証マザーズよりも数が多いため、投資対象としての選択肢も広いことが特徴です。
JASDAQに上場している以上、一定の利益基準や資産条件は満たしていることから、数字だけでなく会社そのものの違いを見ることが重要になってきます。
まず注目したいのは、社長の人柄やビジネス上の展望です。
新聞やビジネス雑誌などに載っているインタビューを読んで、JASDAQ上場企業が「誰にとって役立つビジネスをやろうとしているのか」を見てみましょう。
数年後に急成長する可能性を秘めていると感じれば、多少のリスクを取っても投資してみたいと思える企業であると検討できます。
グロース部門については成長性を重んじている市場であるため、周りがまだ知らない銘柄を見つけ出すという意味で絞り込むことも可能。
他には、株価に対して得られる配当金(配当利回り)から選ぶ方法もおすすめです。長期的な保有を考えている方は、配当利回りの高い銘柄を見比べてみましょう。
JASDAQ上場企業に投資するときの注意点
JASDAQ上場企業に投資するときには、いくつか注意したい事柄があります。まずは上場廃止になってしまうリスク。
債務超過により経営が上手くいかなくなると、上場廃止に追い込まれる場合があるため注意が必要です。
上場廃止が決まると、株価は最低価額の1円に向かって下がっていきます。
再上場の見込みもなければ価値が失われていくだけになるため、リスクのある投資であることを意識しておかなければなりません。
実際に日本取引所グループのホームページにおいても「上場廃止銘柄一覧」が掲載され、過去にJASDAQスタンダードやグロースから上場廃止してしまった企業を確認可能です。
また、新興市場の特徴として株価の値動きが激しく、売買のタイミングを計りづらいことも難点。投資初心者にはややハードルの高い金融商品という見方もできます。
※この記事は、2018年2月時点の情報に基づいて作成されています。
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